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断片的、あまりに断片的な

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映画のチラシ

チラシを集め出したのは95年ごろ、私は高校1年生であり、少ないお小遣いやバイト代で、学校帰りに映画を見に行くようになった頃である。決して安くはない映画料金ながらも、当時はまだそれほどTSUTAYAが幅をきかせてなかったこともあって、レンタルには全く興味がなかった。それよりも、その時期だからこそ、映画館で、つまりは家の外で、親の知らない映画を見ることに意味があったのかもしれない。

映画館に行けば、キレイなチラシが並んでいて、上映が始まる前の手持ち無沙汰タイムについつい手にとってしまう。それから、友人からもらった、当時一世風靡した単館系映画『トレインスポッティング』のオシャレなチラシが、現在に続くコレクトのきっかけとしては大きいかもしれない。それまで漫然と集めていただけだったが、『トレインスポッティング』のチラシからデザインの面白さも知った、ような気がする。
今見るとそうでもないが、当時は、映画それ自体のインパクトや、サントラと連動した形での『トレインスポッティング』ブーム(ユアン・マクレガーブーム、ブリット・ポップブーム、イギリス映画ブーム・・・)が背景にあったこともあって、窓際の一番後ろという、最も「内職がはかどる」席だった私は(中央委員の権力を発動してゲットした席である)、『トレインスポッティング』のチラシやらフライヤーやらを窓にペタペタ貼りまくっていた。担任の先生に剥がされは貼り、剥がされは貼りしてたので、友人からたくさんもらったはずのチラシは、結局1枚になってしまった。しかもところどころ擦り切れていて悔やまれるが、そのチラシを見るとそんなことが思い出される。

とはいえ、やはり映画のチケットは高い(60歳以上もいいが、高校生、あるいは大学生のチケットはもっと安くてしかるべきだと思う)。そうしょっちゅう見に行くわけにも行かない。だが、当時つるんでいた人が無類の映画好き、片っ端から試写会の招待券を応募・当選しているような人で、私もそれにあやかって、タダで映画をたくさん見させていただいた。試写会のときも、会場でチラシを束で配っていたりしたので、チラシコレクトにはそれほど不足はなかった。難を言えば1枚づつしかくれないこと(私の基本は3枚づつです)。それらは今でも貴重な1枚としてファイリングされている。

集めた映画のチラシをフリマで売ったことも何回かある。1枚10円で売っていたのだが、「タダでもらってきたものを売るとはアコギなことやってんな」と言う人もいれば、「そんなタダみたいな値段で売ってどうする、もっとうまく商売やれよ」という人もいた。「だって1枚100円で売ったら、10枚売ったことと同じになるんだよ」、と。別に儲けようと思ってたわけではないけれど、タダとなれば「それ全部!!」などと軽々しくいう輩も出てくる。10円といえども、「買う」ということになれば、やはりみなそれなりにじっくりと欲しいものを吟味する。「ここまで集めた私の苦労を!!」などと思っているわけではなくて、そのように物を買うべき(手当たり次第チラシを集めてる私に言われたかないだろうが)。欲しくないのに持っていかれて、後でそれを本当に欲しい人が出てきたら口惜しいし。そして、そのチラシを吟味しているお客さんと、アレコレ話しながら一緒に悩むというのも楽しい。ブラッド・ピットファンの方は、ブラピ出演作のチラシをもれなく探し出してごっそり買っていった。ファンは強い。

本当は、交換という手段が最も望ましいのだけど、あいにく身近で熱心に集めている人がいない。で、mixiの映画チラシ交換コミュニティに入ってみた。この手の類に参加するのは初めてで、マニアックな人ばかりなのかなぁ、とやや不安だったのだがそうでもなかった。お金さえかければ、入手できるところは他にもいっぱいあるわけで、本気の本気で集めている人はこんなところに参加する必要がないのだろう。マジな人は映画のチラシは集めるための「モノ」にすぎないが、mixiのコミュニティ参加者たちにとっては映画のチラシはコミュニケーションの媒体といった感がある。

私も一度、欲しいチラシを20枚ほどリストアップして、誰か交換してくれませんか~と書き込んでみたことがある。ある人からすぐに返答があり、タダで送ってくれるとのこと。個別に連絡を取って(もちろんmixi内でだが)連絡先を送ると、すぐにチラシが送られてきた。事前に「他にどんなジャンルを好みますか?」と聞かれていて、どんなって言われても・・・と思いつつ、「ダンスや音楽関連のものが特に欲しいです」とお伝えしておいたのだけれど、私がリストアップしていなかったダンス・音楽関連のものも一緒に送ってくれた。さらに「僕のお勧め」のチラシも、そして一人で映ったプリクラ写真も添付・・・「僕です」とのこと。私は簡単なお礼文と、送料に多少色をつけた額の切手を送る。私はここでは「モノ」のやりとりがしたかっただけである。でも対応はとても丁寧で嬉しかったですよ。

ところで、このやりとり、全く得たいの知れない人に、いとも簡単に住所や本名(顔も)を教え合っている。私がコミュニティに参加してすぐの初書き込みでのやりとりだから、双方の(ネット上の)人格(すら)も掴めていないのに、である。個人情報に過敏な現代、匿名でのコミュニケーションを中心としたmixiで、である。こんな話をmixi研究者に何気なくしたら、「目的因子」があるからだという。「いい事例になったよ」といいながらその方はメモを取っていた。それ以来、その映画のチラシ交換コミュニティは覗いていない。イヤになったわけでなく、自分が何を持っているのか/持っていないかを把握しきれていないからである。もうちょっと整理がついたらバシバシ参加する、かも。

先にも書いたように、手に入れようと思えば、お金を払えばたいていのチラシは手に入るだろう。昔から、パンフレットやチラシを売る専門店はあったし、オークションにも多数出品されている。チラシ収集代行業なんてのもある。毎月毎月、新しく出たチラシをお客様の代わりに集めてきて、郵送するという商売だ。確かに地方の収集家にとってはありがたいサービスであろう。でも私にはタダってことが魅力的、もし集められる環境になかったら、きっと興味などもたなかっただろう。
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