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断片的、あまりに断片的な

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ケチャ祭りと「お客様は神様です」

7月下旬は、毎年恒例の芸能山城組プレゼンツ「ケチャ祭」@西新宿55広場。今年はわりと早くに会場入りしたので、ジェゴク(竹の鍵盤楽器)の演奏を聴くことができた。「祭」のプログラムのなかで、一番見応え、聴きごたえがある演目だと思う。ただ、ジェゴクらの生音と電子音のバランスがすごく悪くて、ヘンテコな曲になっているものもあったが。

雨が降ってきたこともあって、最後の演目であるケチャ前に退散。あの演者たちの白くてダブついたからだが毎年気分を萎えさせる。先日の「ベンガルの虎」でもそうだったけれど(「それが、戦争から帰ってきた男たちの体かい!」のからだ)。トランシーな気分へとなかなか導いてくれない(からだのせいだけではないが)。

プログラムや曲目はほぼ毎年同じなのだが、セミたちが泣き喚くなか、ぼーっと音楽を聴き、ビールを飲み、ガラムを燻らすのがこの祭りの楽しみ。基本的には入場無料なので、毎年プラプラと足を運んでいる。そう、無料なのであるが、どこに行っても「お客様気分」が抜けない人たちがいる。 おそらく定年退職後の3組の夫婦が「グループデート」で祭に来ていた。雨が時折パラついていたので、用意されたささやかなお休み処の椅子やテーブルが濡れていたのだが、きゃつらはやって来るなり、あそこを拭け、そこを拭け、こっちが濡れていると大騒ぎ。屋台で頼んだジュースやビールも自分で運ばず、あっちに運べ、こっちがまだだとうるさい。1961年に三波春夫が口にし、その後歪曲された形で広まった「お客様は神様です」思想で生きているのだった。

ハウスの住人に、カナダで日本人客のガイドをしていたものがいる。先日行った観光関係学会の発表の一つに、ボランティアガイドに関するものがあったので、少し内容を伝えたら、その難しさについて話してくれた。自身の仕事を皮肉交じりに「自分を好きになってもらって、信頼してもらって、そんな私がすすめる土産屋でお金を落としてもらうこと」と言っていた彼女は、カナダのツアー会社所属のガイドだった。

安い航空券やパッケージツアー(航空券+ホテル)が多く出回り個人旅行が人気の今でも、朝から観光客につきっきりで、あちこちを案内し、通訳してまわり、送り迎えをするガイド付きツアーは、主として高齢者の方たちから支持されている。ただそうはいってもお決まりの「土産物屋巡りツアー」に飽き飽きしているものもいるし、近年特に財布の紐は固くなっている。そこで、その土地のことを良く知る地元のボランティアの方に名所を案内してもらうツアーが注目を集め出したのだそうだ(「着地型観光」というらしい)。

だがボランティアガイドは、ある特定の場所(例えば○○公園、○○美術館など)あくまでその人が「出来る、知る範囲内」でのガイドをすることが多い。だが従来のガイドツアーの至れり尽くせりの対応に慣れてきたものたちは、そういった立場をあまり理解できずにあれやこれやと横柄に要求してくるものが多く、結局ボランティアガイドがうまく根付かない、機能しないということだった。金を払っても、払わずとも自分は神たるお客様なのである。

キャバクラやホストクラブ、メイドにバトラー、これらにはセクシュアリティが絡んでくるけれど、「お客様」文化が日本にはいっぱい。定評のある日本の百貨店、飲食店等の接客サービスは、ちょっとの「タメ口」もクレームになったりする。ある種の「タテ」志向。
去年の話だけれど、サイゼリヤの前で40代前半店員を土下座させている20代前半男たちがいた。店員がどんな粗相をしたかしらないが、300円足らずのドリアでガタガタ言ってんじゃないよ!結局、これはイジメだろう。

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