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断片的、あまりに断片的な

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Radiohead@さいたまスーパーアリーナ2008.10.5

通算7回目になるRadioheadのライブである。毎回「もういいかな・・・」と思いつつ、やっぱり見に行ってしまうバンドである。

17時から前座がスタート。ボーカルのトム・ヨークもアルバム制作に参加したエレクトロ~ヒップホップユニットのModeselektorで、会場はダンスイベントのような雰囲気になったが、みんなヤジを飛ばすわけでもなく、ノルでもなく微動だにしないのが怖い・・・。これがダンスイベントというフレームなら、わけのわからないDJでも踊るだろうが。 Modeselektor終了後、Radioheadスタートまで時間があるだろうと、外に出てサンドイッチ食べ、一服。見渡すと開演前は長蛇の列だったグッズ販売テントがガラ空き。それならばと覗きに行って、ついつい買うつもりのなかったTシャツ4,000円を買ってしまう。近年Radioheadはジャケットやスリーブなどのアートワークにも力を入れているが、Tシャツもなかなかで、Tシャツの表にバンド名が明記されることもなく(裏面にさりげなくアリ)、デザイン重視の姿勢。バンドTというよりは、バンドがデザインしたTシャツといった感じである。

ところでこのTシャツ、フェアトレード思想のもと作られたもので、50%がぺットボトルリサイクル、50%がオーガニックコットンだという。Tシャツの内側には生産過程についての詳細が小さな字でびっしり書かれている。メンバー全員が環境問題や政治問題に関心を持っており、会場にも彼らが参加する環境NGO団体が署名活動をしていたり、会場のカップの素材やゴミも自分たちでコントロールするなど、積極的に働きかけていた。数年前のインタビューでは、ボーカルのトム・ヨークは二酸化炭素を排出しまくりながら移動を続ける世界ツアーに対してネガティブな心情を吐露していたけれど、いろいろと工夫しながらこうやってツアーをやっているわけだ。ステージの照明も専属契約したクリーン電力を使用したのだという。
Radioheadの音楽は暗いとかネガティブとか絶望などと形容されることが少なくないが、私は彼らを見ていると、グラムシの「知のペシミズム、意志のオプティミズム」を体現しているように見える。世界の状況を知り学べば学ぶほど、問題や不安や不満は目の前に積まれ続ける。みずからが資本主義の、商業主義の只中にいるという認識。それを呪い愚痴り、あるいは降りるのはたやすいが、彼らはそのような状況を引き受け、そのような状況で何が出来るかという方向に進んだ。大手レコード会社との契約を更新せず、自主レーベルからCDを出し、ダウンロード制を導入したのだ。リミックスやPVを全世界のプロ・アマ問わないクリエーター(の卵)たちから募るというのも面白い試みだ。知人が「メジャーであることを引受けている」と言っていたが、まさにその通りだと思う。

トム・ヨークのエレクトロニカやテクノなどのダンス系ミュージックへの傾倒は、音楽そのものはもちろんのことだが、その系統のアーティストたちの身軽さへの憧れがある、と思う。自分の身と、パソコン、あるいはレコードだけ持ってツアーが出来るということ。りっぱなスタジオなどなくともCDを作ってしまうということ。あらゆるしがらみがないこと。そして「顔」がないこと。「彼らには責任がない・・・」とぼやいていたこともあったが、メジャーを引き受けた彼らは、そんな身軽なDJやミュージシャンたちに憧れサポートし続け、そしてメジャーであり続ける。
セットリストは、最新作「in rainbows」の10曲中9曲をやり、その他2nd~6thから2~4曲づつ、計25曲というなかなかボリュームのあるもの。2nd「the bends」のfake plastic trees を聴くと、今とは比較にならないほどCDを聴きこんでいたこととか、新たなCDを前にワクワクしてた頃の感覚が思い出される(学校サボって買いに行ったんだよな、高1の5月っからサボってるなんて先が思いやられる・・・)。

風邪っぴきで、ろくすっぽ食事もできない状況で見に行ったので、アリーナのやや後方から静かに見ていたが、静かに興奮した私は、トム・ヨークとの同一化衝動(威光模倣)で髪をバッサリ切ったのだった。風邪だったのに・・・。そんな話をシェアメイトにしたら「・・・病気ですか?」と言われてしまった。そして、次の日「病気(風邪)」がひどくなったのはいうまでもない。  ライブの前日に、知人の家具職人が椅子を卸している、都内の某自然派お食事どころに御一行がやってきたという情報を興奮気味に伝えられる(彼女が作った椅子にトム氏が座ったようだ)。ちなみにそのお店は中央線沿線の某駅にある、とくに「高級」でもない小さなお店です。六本木やら銀座やらでないところが素敵です。

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