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断片的、あまりに断片的な

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黒沢美香『薔薇の人―登校―』@中野テルプシコール2007.2.9

43bf892c.jpg 先日書いたように、2月9日(金)に黒沢美香さんのダンス公演『薔薇の人―登校―』を見てきた。
1957年生まれで今年50歳になる黒沢。こんもりとしたウィッグをつけ、顔は白塗り濃いアイメイクの「オトナ」な顔の下は、クリーム色のややヒラヒラしたワンピース、黒のワンストラップシューズ(タイツの上から白いレースで縁取って靴のように見せている)、白いバッグを斜めがけした「少女」の身体。バッグからおもむろにリコーダーを取り出し「モルダウ」や「茶色のこびん」を吹いたり、せんべいをガリガリシャリシャリとクズをあちこちに飛ばしながら食べたり、蛇に遭遇したり。幼少時の「登校」への憧憬を踊る。
 その顔は常に無表情。「はっぴいえんど」の曲が流れたりと、「なつかしみ」を促すものが用意されているけれど(私は「はっぴいえんど」に懐かしみはないが!)、そこには甘ったるい憧憬などなく、見ていてなんだか不安な気持ちになる。それは黒沢の身体にも負う部分も大きい。乗越たかおさんが「作品にもよるが、黒沢美香は3B(ブサイクな身体・ブキミな動き・場末感)を身にまとったダンサーである」と書いているが、確かに黒沢の身体は、欧米のバレエ・ダンサーなどの「美しい」身体と比べると、非常にバランスが悪い。ウィッグをつけた頭は大きく、背も低く、足も長くない。そんな「ブサイクな身体」が「キレイなおべべ」を着るちぐはぐさ。深爪ぎみの短い指でせっせとリコーダーの穴を押さえる「少女」の身振り。でもその身体が「少女」でないことを知っているが故の奇妙な感情。これを「異装」とするのが妥当かどうかはわからないが、石井達郎さんは、「異装」の社会的な機能を次のようにまとめている。

 性であれ、年齢であれ、人の表現としての〈異装〉の原点は・・・、人が生きているありふれた「かたち」に亀裂を生じさせ、日常的な「ながれ」をくい止め、いつもは不可視である混沌の部分を波立たせることにある。それだけ、下着から上着まで人の身体を幾重にもくるむ衣装は、ふだんは常套からはずれたり、それを転倒することが難しい。(『異装のセクシュアリティ』)

 黒沢の「異装」性は、「オトナ」と「こども」の境界線を揺らがせて、(可愛くて)不気味な身体を提示しているといえる。
 フロイトは「不気味なもの」を「親しかったものが、抑圧を経て現われてくるもの」と定義しているが、バリバリムシャムシャせんべいを食べ散らかす黒沢の身体には、まさにそんな「不気味さ」があったように思う。

 登場して15分ほどは、右手を高く挙げて手の甲を裏に表にひっくり返しながら歩くというミニマルな動きが続く。でも15分腕を挙げるって簡単じゃない。裏返すその手の甲の動きも僅かにふるえ、じっくりと動く。当然ながらアナタやワタシの身体とは全く違うのだ。

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