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断片的、あまりに断片的な

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マリリン・アグレロ『ステップ!ステップ!ステップ!』

8a53dbd2.jpg ニューヨークの小学校では、1994年から社交(ボールルーム)ダンスのレッスンが導入されている。様々な人種溢れるニューヨークにおいてのコミュニケーションとして、親が教えてくれない礼儀作法を学ぶ機会として、そして何かに打ち込むことのおもしろさを知る=非行をふせぐためとして。
 子供たちは10週間ダンスのレッスンを受け、その中から各校5組の代表が選出され大会でダンスを競う。子供たちや教師、親などへのインタビューを交えながら、大会決勝戦までを追ったドキュメンタリー映画である。  

e6d2fd4c.jpg この作品が追う学校は主として3校。中でもドミニカ共和国出身の児童が97%を占める学校が中心的に描かれている。ネタをバラしてしまえば、このドミニカ系の小学校がコンテストで優勝するのだが、最初からその学校を中心に撮影していたのだろうか?それとも前回優勝校など強校の練習風景も撮影した上で、後に優勝校を中心とした「優勝までの道のり」といったストーリに合うように編集したのだろうか?詳しく調べていないので良くわからないが、ある学校の優勝までを描くというきちんとした一本筋、BGMも上からのせてあったりあきがこない。適切な表現ではないと承知しつつ、「映画」的なドキュメンタリー映画と言ってしまおう(それが悪いといっているわけではなく。「真実」らしきものを描いていると思い込んで、さらにそこにあぐらをかいているようなものが一番たちが悪い。ドキュメンタリー映画の素朴な、もっといえばとてつもなく「文部省推薦」的な(ダサイ)映画のチラシをみるにつけうんざりする)。

d95630de.jpg 男女が向き合う社交ダンス、児童たちへのインタビューでもおませな男女観がポンポン飛び出てくる。
「女ってさ、男から好きにならないとダメなんだぜ。ホント、女ってえらそうだよな」
「本で読んだけど、科学的な見地からしても、女性は男性より優れているのよ!」
「男の子の友人が多いから、男の子については良く知ってるわ。男の子って・・・・(肩をすくめて)思い込みね!」


98bd8a16.jpg おませでは片付けられない言葉も。
「10歳になって体が大人っぽくなる子は心配よ。酔っ払いが変な目で私の体を見るようになる」
「ドラッグの売人になってしまうのは親が悪いのよ、片親だったり」
「でも私の父親は浮気している、お母さんが泣くのはイヤ、わかれて欲しい」
「私はラッキーよ、両親の仲がいいもの」
文化、環境の違いにただただ驚かされる。

 欧米ではほっぺに「チュ」とかハグとか、男女の接触が日本と比べると日常的に多いといわれているが、そうであってもやはり手をつないで見つめあう社交ダンスにはみなちょっとした恥じらいを持つ。ダンスを教える先生が、「パートナーの目の色は何色だった?」と不意に尋ねる(日本ではあり得ない質問)。「・・・ブルー?」「ただの茶色だよ・・・(不安げ)」と子供たちは答える。どれだけきちんと相手の目を見て踊っているか確かめたのである。

1711ced0.jpg アメリカといえどもまだまだ異性愛が中心の世界、そこに男女の身体があれば当然恥じらいや戸惑いがある。ダンスがより良いコミュニケーションの手段となりうるのは、その恥じらいに依拠しているのではないか。敵対する、忌み嫌う文化の人間、でも男女として向き合えば、嫌悪感の前(後でもいいけど)に恥じらいあるいは欲望が生じる可能性があるのではなかろうか。だからこそ、敵を錯乱させる戦術としてダンス(の肢体)も有効だったのだろう。
 すぐ右上の写真の男の子はニューヨークにきたばかりのウィルソン君。英語はまだまだしゃべれないが、腰の動かし方や表情など身体表現はあまりにうますぎてつい笑ってしまうほど。決勝戦でも見事なダンスを披露する。
 もちろん、脱落するものもいる。代表に選ばれながらもめんどうくさがってやめてしまうもの、「ダンス踊るなら死んだ方がいい」というダンス嫌いの少年も。
 また、この映画は作中で流れる携帯電話の着信音が、著作権の争点となり話題になったようである。

37dcc3cf.jpg "HOT MAD BALLROOM"
 監督:マリリン・アグレロ
 2005年アメリカ








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