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断片的、あまりに断片的な

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シャル・ウィ・ダンスの夜

毎度おなじみ今さらながらの話で恐縮だが、ゴールデンウィーク中に、知人の親戚の伯母さんの社交ダンス発表会にご招待され行ってきた。場所は横浜のベイシェラトンホテル。知人から事前に、ドレッシーな格好をしてこいといわれていたので、「別に私が踊るわけじゃないのに・・・」とブツブツつぶやきながら黒のワンピースを着ていったのだが、あんのじょう、みんなラフな、もっといえばルームウェアのようなお方もいた。この、ヒラヒラドレスを身にまとった演者たちのきらびやかさと、オーディエンスのラフさ(というか冴えなさ、というか・・・)というギャップが、滑稽さをかもし出す。演者のコスプレ感が強調されてしまうので。

私たちの席は一番前の真ん中のテーブルで、その中でも私には最も良く鑑賞できる席が用意されていた。まずはご招待いただいた演者である知人の伯母さん(以下、伯母さん)にごあいさつ、知人のご両親にごあいさつ、その他親戚一同にごあいさつ、伯母さんの友人にごあいさつ・・・。毎年親戚が顔を合わせる恒例イベントの一つとなっているようだ。

私は知人に「この一番良いテーブルを占領するなんて、あんたの伯母さん、ダンススクールでかなりの権力者なんじゃ・・・」と、ダンススクール内の女たちの力関係を想像しつつ尋ねたら、「いやぁ、単純に金でしょう。この席高いから」と返される。ホテルのホールで、コース料理もあり、ビンゴ大会もあり、ちょっと有名なゲストダンサーのダンスもありの5時間に及ぶてんこもりの内容のこの発表会、チケット代は1人1万円はくだらないはずだ。親戚や見ず知らずの私でさえご招待している伯母さんは、この発表会で3分ほど踊るために、10万円以上支払ったことになる。嗚呼、発表会文化ナリ。
発表会にはつきものの花束贈呈もあり、伯母さんはもちろんのこと、その先生、そして謎の30代男性生徒さんに贈る分の花束が用意されていた。その謎の男性は、生徒さんたちのほとんどが40代~50代の女性だったなかで一人異彩を放っており、聞けば彼は誰も知り合いを呼んでいないがゆえに、誰からも花束をもらえないので、伯母さんが気をきかせて彼の分の花束を用意したという。嗚呼、日本人ノ儀礼ナリ。

それはともかく、なぜ私がプレゼンターなのだろう。見知らぬ人にいきなり渡されても謎なだけだと思うのだが・・・なんともかんとも。しかし、親戚一同からの命とあれば逆らえず、「あー変、こんなの変、すっごく変」と思いながら花束を渡したのだった。そのあと喫煙所でタバコを吸っていたら、「ねぇ、あの男の人とどういう関係?」と、オバ様方からのさっそくの詰問である。

プログラムの合間合間には、フロアで好きに踊ってよいフリーダンスタイムがあって、その時間になるとどこからともなく湧いて出てきた大学のダンスサークル所属の男性学生ダンサーたちが、各テーブルをまわり、女たちに「Shall We Dance?」と囁き、女の手を取ってフロアへと導き、女の腰に手を回す。演者もオーディエンスも圧倒的に女性が多く、そして年の頃は40代から60代といったあんばいで、そんな女たちが若い男に身を支えられ、見つめられながら踊るのを見ていて思わず思い浮かべるのは、ホストクラブというか、ハーレクイーンロマンスというか。

輸入時から「Shall We Dance?」まで、社交ダンスは強弱はあれどとこか「いやらしいもの」、「いかがわしいもの」として語られてきた。それは結局パートナー(夫、妻)の文化として定着しなかったからである。何十人と生徒さんたちが踊っていたが、夫婦同士で踊っていたのは、たった一組だった。つまり「スワップ」というわけで。ただし、そのオバ様たちを誘う大学ダンスサークルの学生たちは、いかにも真面目そうな雰囲気。この年代にはあまりにも健全ないかがわしさでしかないのだ。

伯母さんは美容師ということもあるのかないのか、見られる自分に対する意識が高く、とてもきれいにメイクやドレスをまとめていた(ちなみにメイクは、ダンス用品屋チャコットからメイクさんが派遣され、1万円だかかけてメイクをしてもらう、らしい。ロビーではチャコットがドレス販売)。しかし、ぎょっとするからだもあった。なぜその衣装を選んだんだ!!と叫ばずにはいられない、腹部だけメッシュ仕様になったドレスをお召しの方がいて、メッシュの内側で何重にもよじれた腹部をフルフルと晒していた。「私はそれでもかまわないのよ!!いいじゃない、こんなおなかだって!!」というメタメッセージが読めなかったので、事故としかとらえられず、目の前でフルフルやられたときは思わず目をそらしてしまった。

ともかく、パッケージ化された発表会の最たるを見学させていただいた貴重な一日だった。来年も誘ってくれるらしいけれど、その代わり私も踊ることが命ぜられている・・・。
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