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断片的、あまりに断片的な

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盛田茂『シンガポールの光と影』

研究仲間たちからずいぶん前にご恵投いただいておりました。その中の1冊が盛田茂『シンガポールの光と影 この国の映画監督たち 』(インターブックス 2015)。

会社を55歳でやめてから、シンガポール映画の研究をスタートさせた盛田さんのこの本、「シンガポール映画批評」ではなく、映画を通してシンガポール社会を論じるもの。シンガポールといえば、最近チームラボがアートサイエンスミュージアム (Art science museum) で常設展を展開したり、「秒速で1億かせぐ」でおなじみだった与沢翼氏が移住したり(笑)、イケイケのイメージが強いかもしれません。高さ50メートルの人口の木のオブジェ「スーパーツリー」がそびえたつ植物園、ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ (gardens by the bay) は、まるでおとぎの国のようです。
外向きにはまぶしいくらいの「光」を放つシンガポールですが、それはさまざまな「影」の上に成り立っている。政府が力づくで行ってきた言語政策、政治的な問題や性的な表現に関する規制、文化に対する抑圧など、外には開かれている一方で、内部には多民族国家としてのさまざまな問題を(も)抱えています。そんなシンガポールの矛盾を、シンガポール映画人の実践、映画産業の変遷を通して浮びあがらせるのが本書。日本の状況と照らし合わせながら読み進めるのも面白いと思います。

ちなみに解説は内田樹氏。タイトルは、ジブリの鈴木敏夫氏につけていただいたそうです。キガミッツさんの装丁も素敵です。(本の写真はキガミッツさんのサイトより)

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