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断片的、あまりに断片的な

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ゴシックに戻って:ゴスメモ2

1970年代後半イギリスに誕生したゴス・ロックを中心としたゴス・カルチャーは、18世紀に生まれたゴシック文学の世界観に由来する。そのゴシック文学の舞台となるのが、12世紀後半から主としてフランスで栄えたゴシック建築の「廃墟」である。といってみたところでゴシック建築・・・、世界史あるいは美術史の時間にその単語は聞いたことはあれど、どんな建築かイメージしずらい人、もうすっかり忘れてしまった人もいるのではないだろうか。
↑これである(例えばこれはフランスのランス大聖堂)。
地域や時代によって装飾や構造などが異なるが、大雑把にまとめれば天を目指して突き出す尖った塔や、壮麗かつ威圧感のある意匠・構造が特徴の、キリスト教の修道院建築である。全長150メートルを超す聖堂もあるというゴシック聖堂のその大きさは、もちろん、キリスト教の力のアピールである。人びとは聖書(字)を読めないし、そもそも聖書だって貴重品の時代にあって、とにかくビジュアルで圧倒してしまえ、という発想だ。遠くにいたって、高い塔からキリストが見張っているのである(おお、パノプティコン)。

しかしこれらが、「ゴシック建築」と呼ばれるようになったのは、もっと後のことである。科学の発達、大航海などによって世界が広がり、教会の権威が揺らぎ出した14世紀からのルネッサンス期になると、古くささの象徴ともいえるこれら大聖堂は、「ゴート族(野蛮人)風の=ゴシック」といって蔑まされる。「ゴシック」とは蔑称なのである(ちなみにゴート族はドイツの古民族)。さらに新興勢力プロテスタントが、この華美な建築を批判、そして破壊。


このような流れでボロボロの廃墟になってしまった建物に美を見出したのが、貴族たちである。各地の廃墟を、苦労しながらでも巡る「グランド・ツアー」なるものがはやりだしたのは16世紀の後半で、ときのエリザベス女王もこのツアーを推奨したという。

見飽きてしまった華美な日常とは異なる、荒れ果てた建物に美を見て興奮する・・。断崖や激流を描いた絵を飾る「ピクチャレスク趣味」、あるいは人工的に廃墟を作る「廃墟主義」などに貴族たちは傾倒する。そんな貴族の一人であった人物、ホレス・ウォルパークが『オトラント城奇譚』という小説を執筆。これがゴシック文学の誕生といわれている。
日常ではなかなか感じえない恐怖を与えてくれるものを廃墟に見出す。金持ちだからこそなれの、「美(娯楽)」としての不安・恐怖消費。このグロテスクさが、そもそものゴス文化の出発点である。

・上 賛美賛美。「何が悪いっての?」 =消費
・中 罪悪感としみったれ 「ああ、なんだってこんな・・・(でもスキ)」 =埋没
・下 嫌悪or主題化しない =当事

((ロンドン)パンクと違って、ポスト・パンク=ゴス・ロックは中の実践であると)

私が20歳のころ、ベトナムに旅行に行くといったとき、じいさんは「なんであんなところに!」といった。それはもちろんベトナムを卑下したのではない。

そういえば日本でも「廃墟ブーム」が何年か前あった(工場ブームもあったなぁ)。私も今はなき九龍城の写真集をながめていたものだ(そして香港に行った)。そういえば、
つい先日電車で隣り合わせた「ゴス・ロリ」らしき女性2人(20代前半)の会話を聞いていた。「非日常が日常になってる」などと、「ふつう」ではない生活をおくっていると話す1人の女性が、「アタシやっぱ軍艦島に行きたいんだよね~」。


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